化石クリーニング はじめました

化石・地質担当の新垣です。最近の発掘で持ち帰った化石を見ていると「埋まっている部分もきれいに出したい!」という気持ちが高まり、化石クリーニングをはじめました。本記事は、化石クリーニングについて紹介します。

・なぜクリーニングをするのか

 化石をクリーニングする理由は、標本としての価値を高めるためです。実際に化石のクリーニング前後で比較するとその効果がよくわかります。(撮影は3D担当の佐々木氏)

クリーニング前
クリーニング後

時代:新第三紀中新世レモンザメ属の歯化石 6mm程度 三重県津市美里

クリーニング前
クリーニング後

時代:新第三紀中新世メジロザメ属の歯化石 8mm程度 三重県津市美里町で採集

上段の歯は1/3程度埋まっていたものが先端まで出せて全体像が分かるようになりました。下段左は歯の半分以上を出すことができ、隠れていた側にも鋸歯が並んでいました。現場で見つけた化石は、同定形質や見たい部分が埋まっていることがほとんどで、帰宅後にクリーニングして形態情報を引き出すことが重要になります。面白い化石の報告ができるように発掘も頑張ります。

・商品にクリーニング技術を活かす

 ほとんどの化石標本は発掘後にクリーニングされています。クリーニング後の感じを再現するため、レプリカを「削った」商品もあります。是非「化石らしさ」がました製品も見に来てください。

左:コルヌプロエタスの拡大レプリカ、右:本物の化石 白い線は実際に削った跡。
セイムリア ベイロレンシスの産状レプリカ
始祖鳥レプリカ

タヌキ 骨格と剥製

タヌキ の剥製をデータスキャン!?

 3D担当の佐々木です。スケッチファブで公開をしているタヌキの頭骨に肉付けをしてみました。頭骨が顔のどこに収まっているかを可視化すると骨の部位の機能が想像できますね。さらに筋肉を付着させると分かりやすそうです。

 今回のデータは造形ではなく、完成度の高い剥製を3Dスキャンして、Zbrush内で結合させました。剥製のデータの取得は3DスキャナーのREVOPOINT POP2を、頭骨はMetashapeによるフォトグラメトリを使用しました。今後はツキノワグマやキツネを増やし日本産哺乳類の商品を充実化させていきます。

タヌキ
斜め上から
タヌキ
上から
正面から
動画

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3Dプリンターで復元した ティラノサウルス に色を塗るイベントを紀美野町で開催しました!

紀美野町中央公民館大ホールで色塗りイベント!

着色担当の坂本です。5月29日(日)に紀美野町の中央公民館大ホールにて、模型に色を塗るイベントを紀美野町から依頼を受けて開催しました。

以前、 ティラノサウルス の実物大頭骨レプリカを紀美野町文化センターに寄贈したご縁もあり、手のひらサイズの ティラノサウルス 復元模型をご用意しました。

アンフィ合同会社の紹介

紀美野町 ティラノサウルス
熱心なまなざしで聞き入る参加者の皆さん

化石・地質担当の新垣さんから今まで当社がどのような模型を作ってきたのかを映像で紹介。映像の中では私が ティラノサウルス の実物大頭骨の歯に着色している様子も登場しています。作業場の中に吊るされている様子もなかなかシュールです。動画は下記からご覧いただけます。

 

色塗りの様子

 どの子も思い思いの色で楽しそうにティラノサウルスを塗っていました。「爪楊枝に黒い絵の具をチョンとつけて瞳を描くと、いきいきとした ティラノサウルス になるよ」と着色のコツを伝えたところ、一生懸命チャレンジしてくれる子もいました。

紀美野町 ティラノサウルス
紀美野町 ティラノサウルス
紀美野町 ティラノサウルス
最後にそれぞれの ティラノサウルス を並べてプチ鑑賞会

 今回の対象は小学1年生から6年生でしたが、保護者の方から「次回大人も色塗りできたら嬉しい」や「小学校上がる前の子も参加させたい」などの意見をいただきました。今後も紀美野町と協力して、さまざまな方に色塗り体験を楽しんでいただけるよう調整していく予定です。

 次回の色塗りイベントは10月に開催予定ですので、お楽しみに!

大迫力! カバの頭骨 レプリカを作製!!

カバの頭骨 こんな形!

 個人様からご依頼をいただき、 カバの頭骨 レプリカを作製しました!

 そのサイズなんと約60㎝!!!と聞くと、意外と大きくないと感じませんでしたか…?あまり長く語らず、まずは画像を見ていただきましょう…。

カバの頭骨
大きく顎を開く様子
女性一人でも持てます
カバの頭骨
改めてみても大きい頭骨
カバの頭骨 ソロ写真
上顎と下顎がわかれます
下顎 こだわりの着色
カバの頭骨
上顎 こだわりの着色
カバの頭骨
特に牙にこだわっています

 いかがでしたか…?このサイズの頭骨を持つ生き物がいるなんて少し驚きませんか?

 カバの頭骨 標本はそう簡単には手に入りません。一方で、レプリカであれば誰でもお部屋に置く事ができます。加えて、画像からもわかるように女性一人でも簡単に持ち上げ顎を開く事もできます。重たい骨の標本では難しいのではないでしょうか。

 アンフィ合同会社では今後も様々な模型やレプリカを作製していきます。どうぞご期待ください!!

SNSでも大好評!!

釣り人の憧れ!超巨大 GT の模型を作製しました!!

まさに圧巻のサイズ GT (ジャイアントトレバリー)

 釣り人であれば知らない人はいないであろう憧れの魚!その名はロウニンアジ。愛好家の間では英名をそのまま使い「Giant trevally」(ジャイアント・トレヴァリー)さらに頭文字をとって GT(ジーティー)とも呼ばれる巨大な魚です。
 今回は、山梨県にお住まいの個人様からご依頼をいただき超超巨大な GT を作製しました!

魚拓から模型に…?

 インドネシアで釣り上げた187cmの超巨大な GT !それを原寸大で模型にしたいとのお声をいただいた事がキッカケで作製を開始しました!
 詳しく情報を伺ったところ、サイズは187cm、重さは68.95kg、日付は2013/9/10との事でした。
 今まで釣り人が記録を残す際には魚拓を取っていたの思うのですが、当社ではサイズや釣った写真さえあればリリースしても今回のように立体かつ原寸大で模型が作れます。

GT
背景には海を再現
人と比べてこのサイズ
GT
特徴的な胸鰭
右下にプレートをつけました
大きい顔

運搬の様子

 2Tトラックをレンタルし、和歌山県から山梨県へ運搬しました。移動中に破損しないように梱包材でグルグル巻きにしていざ出発!約10時間ほどかけて到着しました…。とても遠かったですが、直接お届けでき、喜んでいただけた事が何よりやりがいを感じたプロジェクトでした。

2Tトラックへ運ぶ様子
破損しないように緊張の一瞬
GT
2Tトラックがいっぱいになるサイズ!

モリアオガエル を見つけたい!

  着色担当の坂本です。5月半ばに実家のある静岡県に5日間帰省したのですが、どうしても今回観察したいと思っている生き物がおりました。それはズバリ、モリアオガエル !静岡県にはかなり広い範囲に モリアオガエル が生息していますが、私は静岡県育ちにもかかわらず、今まで一度も見たことがありません。

 普段は森の中に潜んでいるので見つけにくい モリアオガエル ですが、5月~6月は繁殖のために水辺に集まるので観察するには絶好の季節だそうなのです。「せっかく静岡に戻るのだから、 モリアオガエル を生で見たい」とのことで、モリアオガエル を探してあちこちを大捜索してきました。

モリアオガエル
同僚に自慢されたモリアオガエル(静岡県)
モリアオガエル
この目で実際に見たい!

 生き物模型へ着色する上で、本物の生き物を直に観察することはものすごく大切です。なぜなら、2Dの図鑑や写真では情報量がとても少ないから。3Dの模型に着色をするので、腹側や側面はどうなっているのか、瞳の色み、光沢はどんな感じなのか、この毛の生え際はどうなっているのか等、把握しておかなければならない情報は本物の生き物からしか得られないのです。そこで、季節によって見られるいろいろな生き物を、見られる時にしっかり見ておくことが習慣となりました。特に両生類に関しては、依頼も多いため、できるだけ多くの両生類を見ておきたいと思っているのです。ちなみにニホンヒキガエルやアカハライモリなどは飼育もしています。

田貫湖の モリアオガエル

 1箇所目は静岡県富士宮市の朝霧高原にある田貫湖。田貫湖の水辺にはシュレーゲルアオガエルの鳴き声が響き渡っていましたが、 モリアオガエル の鳴き声が聞こえず。田貫湖ふれあい自然塾の職員の方に尋ねたところ、宿泊用ロッジのそばにある「あかがえるの池」に今、卵塊があるよと教えてもらうことができました。あかがえるの池に、アオガエルもいるんだなと感心しました。ヒキガエルもいるそうです。

 モリアオガエル の卵塊は池とほどよい距離感の樹上に10個以上見つけることができましたが、カエル自体を見つけることはできませんでした。枝の上、葉っぱの間、水の中、土の上などなどなどくまなく探しましたが、見つからず。帰りのバスの時間が迫ってきたため、泣く泣くギブアップ。

田貫湖の モリアオガエル
田貫湖から徒歩10分で到着
田貫湖の モリアオガエル
卵塊が密になっています

伊豆の国市の モリアオガエル

 2箇所目は静岡県伊豆の国市の北條寺。こちらのお寺は鎌倉幕府二代執権である北条義時が創建した寺で、北条氏ゆかりのお寺で観光客が大勢来ておりました。お寺の中の展示も素晴らしかったのですが、お寺裏の水場の樹上にできた モリアオガエル の卵塊を発見した時の方が心がときめきました。お寺の横はすぐ山になっていたので、そこからやって来たようです。こちらも大人のカエルの姿は見つけられませんでした。

 水たまりを見ると、おたまじゃくしがちょろちょろと泳いでいる! モリアオガエル の子どもたちかな?しかし姿だけでは判別するのは難しく、時期的にもまだ孵化するのは早すぎるようだったので、ツチガエルなどのおたまじゃくしだったかもしれません。

伊豆の国市の モリアオガエル
人工的な水場でもOKなんだね
伊豆の国市の モリアオガエル
手が届きそうなところにある

湯河原の モリアオガエル

 探索最終日、3箇所目は静岡県のお隣、神奈川県湯河原市の山の中にある自鑑水(自害水)という場所まで足を伸ばして来ました。鎌倉幕府の開祖・源頼朝伝説が残る池で、池に映る自分のやつれた顔を見て自害を決心しましたが、家来になんとか諌められて思いとどまったという伝説がある歴史スポットだったのですが、あんなに高いところに卵塊がある!と見つけることに一生懸命であまり歴史に思いを馳せることができませんでした。卵塊のある樹上の高さでいうと巡った3箇所の中で一番でした。

 自然林に囲まれ、幻想的な雰囲気なこの場所だったら、絶対出会えるだろうとすみずみまで探しましたが、結局ここでも大人のカエルは見つけられませんでした。日中だとこんなにも見つからないものなの?自分の モリアオガエル 探索能力の低さに絶望しました。

湯河原の モリアオガエル
卵塊があんなに高いところに
湯河原の モリアオガエル
山奥の幻想的な空間

和歌山県の モリアオガエル

 結局、モリアオガエル の卵塊はたくさん見ることができましたが、大人の モリアオガエル は一匹も見つけることができませんでした。ちょうど卵を産んでいるタイミングには遭遇することができず、夜通し同一の場所で観察し続けることもできなかったので、非常に無念な結果に終わってしまい悔しい限りです。

 現在住んでいる和歌山県には、高野山近辺にだけ唯一 モリアオガエル が生息しているそうです。車で1時間で行ける観察スポットで、今度見つけに行ってみようと思います。ネバーギブアップ!

モリアオガエル
同僚に自慢されたモリアオガエル(和歌山県)
モリアオガエル
静岡の個体と雰囲気が違う

モリアオガエル の新商品開発中!

実は現在、 モリアオガエル の新商品を開発中です!どんなものになるのか、お楽しみにお待ちください!両生類の商品は両生類の生き物模型のページからご覧いただけます!

「 化石・恐竜 」専門の販売サイトのご紹介!

 こんにちは!営業担当の江田です!

 いつも皆様に使っていただいているECサイトの管理をしています。

 様々な方に喜んでいただければと新商品を増やし続けた結果、現在では270種類以上のラインナップを誇る販売サイトになっています!

化石・恐竜
総合販売サイト

化石・恐竜 専用サイトの誕生

 頭骨や化石のレプリカ、”両生類のいきいきした模型”など潤沢な商品ラインナップがある一方で、「化石や恐竜だけが見たい!」と感じている人もいるのではないかと考えました。

 そこで早速作りました!化石や恐竜を専門とする販売サイト!!その名も「化石・恐竜 アンフィ」です。

専門販売サイト「化石・恐竜 アンフィ」

専門販売サイトの構想

 今後も、皆様に使っていただきやすいような専門販売サイトを増やしてく予定です。

 具体的には、「動物園」「水族館」「日本産動物」「ミニ頭骨シリーズ」などの専門サイトです。お手に取りやすい価格で、探したいグッズがすぐに見つかるサイトの構築を目指し、日々アップデートしていくアンフィ合同会社の販売サイトを今後もご期待くださいませ。

和歌山市民図書館にて 三葉虫レプリカ の色塗り体験講座を開催しました!

 化石・地質担当の新垣です。5月5日(木)に「 三葉虫レプリカ の色塗り体験講座」と題したワークショップを開催しました。今回の記事では、その内容と様子をお伝えします。また、5月15日(日)まで和歌山市民図書館2Fにて展示「5憶年前の記憶~三葉虫の魅力~」が開催されています。まだ展示をご覧になっていない方は是非足を運んでください

色塗りレプリカの作製秘話

 ワークショップで使用した色塗りレプリカは試行錯誤を繰り返して作製しました。初期案として「丸くなった三葉虫」を3Dプリンターで出力し実際に塗ってみました。参加者視点になってみると、このレプリカでは伸びている状態から丸くなる”動き”を想像しにくく、また着色中に手も汚れてしまいました。

 そこで「丸くなった三葉虫」と「伸びた三葉虫」を一つのレプリカにして完成させました。また、3Dデータ上でサイズを調整することで、実際に丸くなった時のサイズ比を再現しました。台座を付けたことで着色中に手が汚れることもありませんでした。

 試作品を作るコストが抑えられたことや、簡単にサイズを調整できる事は3Dプリンターを活用するメリットの一つだと再確認しました。

初期案では手が汚れてしまった
手が汚れず塗りやすい!
三葉虫レプリカ
二つの三葉虫の合成(濃い部分が丸まっている三葉虫の3Dデータで、透明な部分は伸びている三葉虫の3Dデータ)

講座と色塗りの様子

 ワークショップ午前の部は、展示を見て当日に参加を決めた人もいました。午後の部は満員で、多くの参加者に三葉虫の魅力を伝えることができました。

 今回のイベントは、「展示解説」と「レプリカへの色塗り」の2つに構成をわけました。

 展示解説の内容は①三葉虫の生きていた時代、②様々な形のものがいたこと、③これから塗るレプリカです。本物の三葉虫の化石だけではなく、拡大レプリカも使って構造や機能について説明しました。

 色塗りパートではリアルなレプリカ作製のコツを二つお伝えしました。一つ目は、母岩と化石を塗りわける事。二つ目は三葉虫の体節に沿って着色をすることです。

 お子さんが集中して塗っている間に、親御さんから前半の展示解説の質問がありました。「三葉虫ってなんの仲間なんですか…?」や、「何を食べていたんですか?」など素朴だけれど鋭い質問にで回答させていただきました。

 イベント開始から終了予定の45分程度が経ち、完成した参加者がちらほらと出てきたのを見計らって終了の合図をしました。それぞれのレプリカを見ると、化石に似せた暗い色ではなくピンクや青など明るい色の独創的な三葉虫もありました。三葉虫のレプリカ作製を皆さんが楽しんでいただけたのではないでしょうか。

三葉虫レプリカ
色塗りの様子
三葉虫レプリカ
母岩と化石を塗りわけている様子
明るい色の独創的な三葉虫レプリカ

展示・ワークショップを企画して・・・

 今回の展示では、知名度の低い三葉虫を楽しんでいただけるために、多くの工夫を凝らしました。拡大レプリカを見ている人から「へー三葉虫って丸くなるんだー」や「とげとげしてる」などの声が聞こえたときは三葉虫について知ってもらえて、面白いと思ってもらえてよかったと思いました。ワークショップでは、お子さんだけでなく保護者含め多くの人に質問をしていただきました。

 これからも博物館ではなかなか味わえない、アンフィならではの展示、ワークショップを続けていきたいです!

三葉虫グッズも販売中!

三葉虫レプリカ時計です。

化石と現場の 3D 化

 3D を担当している佐々木です。今回は「化石と現場の 3D 化」について話題提供します。私たちが暮らす和歌山県には恐竜や海生爬虫類が大繫栄した中生代白亜紀の地層がいくつもあり、実際にスピノサウルスの歯やモササウルスの全身骨格が見つかっています。そこで私たちも化石を探し出して 3D 化してみたいという思いから、現場へ出かけて実践してみました。 3D モデルはスケッチファブにて公開しておりますので、閲覧しつつ読んでいただけると嬉しいです。

まずは博物館のイベントに参加して化石の勉強

 最初に 3D 化したのは三角貝の仲間トリゴニアの一種です。この化石は3月13日に湯浅町で開催された和歌山県立自然博物館友の会主催の化石発掘イベントに参加して、当社の地質・化石担当の新垣氏が見つけたものです。ちなみに他の参加者は状態の良いアンモナイトを見つけていて、内心羨ましかったのですが、ここではアンモナイトと同じ白亜紀の海を生きた「トリゴニア」を 3D 化することにしました。3D化にはフォトグラメトリ専用ソフトMetashapeを使い、撮影時は回転台を使って、合計48枚の画像から構築しました。完成したデータにはテクスチャー情報も張り付けられるので、形状だけではなく、質感や色を観察することができます。

1 カメラは三脚に固定して回転台を仕様して撮影
カメラは三脚に固定して回転台を仕様して撮影
フォトグラメトリによる3D化(青いマスが撮影位置)
3 トリゴニアのテクスチャー付きの3Dモデル
トリゴニアのテクスチャー付きの3Dモデル
4 トリゴニアの3Dモデル
トリゴニアの3Dモデル

トリゴニアデータ

アンモナイトも撮影したい

 タイトルの通りアンモナイトを見つけられなかったのが悔しかったので、新たに化石発掘ポイントを探し出し、念願のアンモナイトの仲間のシャスティクリオセラスをゲットしました。化石の状態が素晴らしいとは言えませんが、うずまく形状とアンモナイト特有の刻みを 3D 化することができました。データ構築の方法はトリゴニアと同じです。

シャスティクリオセラスの化石
6 シャスティスクリオセラスの3Dデータ
シャスティクリオセラスの3Dデータ

アンモナイトのデータ

化石探しがやめられない

 当初は 3D データの構築が目的だったのですが、化石の魅力に取りつかれてしまい、ついつい化石の出る堆積岩を探してしまう日々となりました。その過程で白亜紀の示準化石でもある大型の二枚貝イノセラムスの一種が地層から産状する現場に遭遇することができました。写真のように比較的状態の良いイノセラムスをそのまま 3D 化したいという考えから、地層ごとデータ化することにしました。方法はこれまでと同じフォトグラメトリですが、今回は単焦点24mmのレンズを使って手持ちで撮影しました。まず、現場をデータ化するため230枚撮影、イノセラムスの産状だけのデータは64枚撮影しました。ちなみにスケールは手持ちのスマートフォンを使い、現地にノートパソコンを持ち込みその場でデータを構築しました。完成した 3D データを見ると地層の状態やイノセラムスの産状の様子がはっきりと観察できます。発掘後もデータ上で化石や周辺地形を計測でき、不要な岩などは簡単に消すことができます。このデータを使った模型と本物の化石を共に配置したら見応えのある展示になりそうです。

7 イノセラムスが産状している地層
イノセラムスが産状している地層
8 発掘現場の3Dデータ(青いマスが撮影位置)
発掘現場の3Dデータ(青いマスが撮影位置)
9 産状しているイノセラムスの3Dデータ(青いマスが撮影位置)
産状しているイノセラムスの3Dデータ(青いマスが撮影位置)

発掘現場の3Dデータ(青いマスが撮影位置)

発掘現場

産状

謎の化石

 貝の仲間やアンモナイトの化石を3Dデータ化してきましたが、最後に動物の骨にも見える謎の化石を紹介したいと思います。場所は広川町で前期白亜紀の汽水成層ないし海成とされる地層です。1センチに満たない小さな化石で指の骨の断片のようにも見えます。採取地の近くではこれまでにも恐竜やワニが出ていると聞きますので、もしも脊椎動物の骨だったら…そんな淡い期待でデータをアップしました。今後この化石についてはさらに母岩をクリーニングすると共に、周囲の岩に見られる骨に似た別の化石も観察してご報告していきたいと思っていますので、乞うご期待ください。

謎の化石のテクスチャー付き3Dデータ
11 謎の化石の3Dデータ
謎の化石の3Dデータ

謎の化石のデータ