やっと出会えた ニホンオオカミ の頭骨標本。この旅の目的でもあり、長い時間車に揺られ続けた疲れも一瞬で吹き飛んだ。博物館のガラス越しではなく、目の前に本当に標本が存在する事実に驚愕した。
ニホンオオカミ が入っていた木箱を包んでいた不思議な銀のラベル。独特な形状と意味ありげな折り目。どこかで見たような…と思いながら裏返すと日本酒の紙パックだった。こんなに貴重な物を…!?という一方で、この記録した紙がなければ標本の持つ意味や価値が大きく変わっていたとも思い、自分も標本を作る際には、ビニール袋にマッキーペンで簡単に書くだけでもいいので少しでも得た記録を記そうと思った。
目の前の標本に驚愕し続けていると仕事にならないので、どこかで気持ちを切り替えて撮影を始めた。「思っていたよりも黄色いなぁ、」「ここの縫合線が…」など、今まで ニホンオオカミ の頭骨模型を作製していたからこそ気付くことが沢山あった。最後に標本の色を印刷物と見比べ再現できるように色番号を記録した。