私たちアンフィ合同会社は2021年冬、一泊二日で奈良県の ニホンオオカミ に関わる資料及び標本の見学とそれらの3Dデータ化を目的に旅をしてきました。そこで今回の成果を写真や3Dデータと共にご紹介をします。
緑の文章は、江田の感想です。
11月31日奈良県東吉野村鷲谷口で ニホンオオカミ の像を見学しました。 ニホンオオカミ 最後の地として知られる東吉野村は1905年東亜動物学探検隊員米人マルコム・アンダーソンが買い入れた個体が最後とされています。ここではかつて台高の山野を咆哮した ニホンオオカミ の雄姿を残し、自然愛護のシンボルとしたいとの強い思いから、奈良教育大学の久保田忠和教授の手により等身大のブロンズ像が建てられています。
朝8時に会社を出てから、車に揺られること約4時間半…。朝が苦手な自分は車で爆睡かと思っていたが、そんなことは無く遊園地に向かう子どものようなテンションだった。まだまだ少年の心を持てているのかなと思う。
長い道のりながら、伝統的な土地に赴く若干の緊張感や、「いつ道で ニホンオオカミ が出てくるかわからないよ!?笑」なんて話しながら、やっと着いた ニホンオオカミ の像。ガードレールが目立つ、画像【 ニホンオオカミ の像表示板】からもわかるように、突然、道にこの像があるのだ。そんな緊張と緩和も魅力の一つなのか?と考えた。
今回私たちはロンドン自然史博物館が公開する画像を基に頭骨模型を作製したので、それを持っていき、ブロンズ像と比較しました。大きさはほぼ一致し、正確に像が作られたことが見て取れます。
ここには掲載していないが、フォトグラメトリ用にも像を撮影をした。これで時間に制限されることなく好きな角度から見ることができるようになる。改めて3Dデータの魅力を感じた。
様々な角度から観察すると、また別の表情が垣間見えて良い。普段、3Dプリンターでの毛並みの表現に悩んでいるが、ある種の答えは意外とこういったブロンズ像の中にあるのかもしれないと思った。
ニホンオオカミ の像と同じく奈良県に所在する「森と水の源流館」にも立ち寄りました。10メートルをこえる巨木のそばで見るパノラマ映像は迫力がありました。
施設の詳細は下記URLよりご確認いただけます。
初日を予定通り終え、宿泊するコテージへと向かった。「道にオオカミが出るかも!」なんて冗談が、像を観てからあり得ない話じゃないかもなと感じた。道路からすぐに設置してあった ニホンオオカミ の像には確かに不思議な魅力があった。
外はすっかり寒く、温かい部屋でぬくぬくと食べる鍋は美味しかった。ビールを片手に今日の感想を語った。
12月1日奈良県大淀町文化会館へ伺い、町教育委員会が管理する ニホンオオカミ の頭蓋骨を拝見させて頂きました。標本は故岸田日出男さんが戦前に譲り受けたもので、2019年に大淀町へ寄贈されました。来歴は日出男さんによって残されており、上北山村天ケ瀬の民家の小便を飲みに来た病オオカミを撲殺した物とのことでした。本標本の同定は1990年に京都大学理学部動物学教室の田隅本夫助教授(当時)が前額部の段差がほとんどなく、口蓋後縁部がへこみ、側下部神経孔が四個あるなどの形態的特徴から ニホンオオカミ であると同定され、2019年には岐阜大学の石黒直隆名誉教授によってDNA分析からも本標本がニホンオオカミであることが証明されました。標本を管理されている教育委員会の松田度主任技師は頭蓋骨標本を多くの人に見てもらうことで、 ニホンオオカミ への関心を高めてもらい、それをきっかけとして新たな情報を集めることができれば、記録の乏しい本種の理解に繋がっていくのではないかと話されていました。今回許可を頂き本標本の撮影及びスキャンをさせて頂き、そこからデータを構築しました。この3Dデータの利用に許可していただいた大淀町に感謝申し上げます。
やっと出会えた ニホンオオカミ の頭骨標本。この旅の目的でもあり、長い時間車に揺られ続けた疲れも一瞬で吹き飛んだ。博物館のガラス越しではなく、目の前に本当に標本が存在する事実に驚愕した。
ニホンオオカミ が入っていた木箱を包んでいた不思議な銀のラベル。独特な形状と意味ありげな折り目。どこかで見たような…と思いながら裏返すと日本酒の紙パックだった。こんなに貴重な物を…!?という一方で、この記録した紙がなければ標本の持つ意味や価値が大きく変わっていたとも思い、自分も標本を作る際には、ビニール袋にマッキーペンで簡単に書くだけでもいいので少しでも得た記録を記そうと思った。
目の前の標本に驚愕し続けていると仕事にならないので、どこかで気持ちを切り替えて撮影を始めた。「思っていたよりも黄色いなぁ、」「ここの縫合線が…」など、今まで ニホンオオカミ の頭骨模型を作製していたからこそ気付くことが沢山あった。最後に標本の色を印刷物と見比べ再現できるように色番号を記録した。
早速、お手頃な価格で購入できるキーホルダーを作製しました。ご興味のある方は下記URLよりご確認くださいませ。
今後もアンフィ合同会社では ニホンオオカミ に関するグッズを作製しようと考えております。