2021年12月1日奈良県大淀町文化会館へ伺い、町教育委員会が管理する ニホンオオカミ の頭蓋骨を拝見させて頂きました。標本は故岸田日出男さんが戦前に譲り受けたもので、2019年に大淀町へ寄贈されました。来歴は日出男さんによって残されており、上北山村天ケ瀬の民家の小便を飲みに来た病オオカミを撲殺した物とのことでした。本標本の同定は1990年に京都大学理学部動物学教室の田隅本夫助教授(当時)が前額部の段差がほとんどなく、口蓋後縁部がへこみ、側下部神経孔が四個あるなどの形態的特徴から ニホンオオカミ であると同定され、2019年には岐阜大学の石黒直隆名誉教授によってDNA分析からも本標本が ニホンオオカミ であることが証明されました。標本を管理されている教育委員会の松田度主任技師は頭蓋骨標本を多くの人に見てもらうことで、 ニホンオオカミ への関心を高めてもらい、それをきっかけとして新たな情報を集めることができれば、記録の乏しい本種の理解に繋がっていくのではないかと話されていました。今回許可を頂き本標本の撮影及びスキャンをさせて頂き、そこからデータを構築しました。この3Dデータの利用に許可していただいた大淀町に感謝申し上げます。