血をすする ナミチスイコウモリ

執筆:佐々木彰央

ナミチスイコウモリ

Desmodus rotundus Geoffroy, 1810

翼手目ヘラコウモリ科

ナミチスイコウモリ はメキシコからアルゼンチンにかけてとチリに分布する翼長350-400mm、体重15-50gの小型のコウモリ類で、吸血コウモリとして古くから知られ、神話などに登場する他、ヨーロッパでは悪魔と結び付けられ、コウモリを印象付ける種として知られてきました。しかし、吸血という特異的な食性のコウモリの種数は意外なほど少なく、900種以上が知られるコウモリ類の中で、本種とシロチスイコウモリ、ケアシチスイコウモリの3種のみです。

本種は夜行性で日中は洞窟や古い井戸、鉱山、廃墟、木の洞をねぐらとして、20-100頭のコロニーを形成することが知られています。日没後、獲物を求めて飛翔し、ウシやブタ等の家畜の他、ヒトや野生動物、ヘビやトカゲ、カエル、カメ、ワニからも吸血したとの報告が知られています。本種は極めて鋭い前歯を持ち、それをナイフのようにして皮膚を傷つけることで出血させ、唾液中に含まれるドラクリンと呼ばれる抗凝固剤を傷口にしたたらせることで獲物の血液を固まらせることなく満腹になるまで吸血します。

引用

ADW: Desmodus rotundus: INFORMATION (animaldiversity.org)

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